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Researches

研究

Evolutionary Computation Lab.

私たちの研究室では、最適化手法としての進化計算の研究を行っています。進化計算は、その解の評価や進化的演算(選択、交叉、突然変異)を誰が実行するかという視点で見ると、マルチエージェントシステムと見なすことができます。以下の表は、進化計算をマルチエージェントシステムと捉えた時の進化計算の分類を示しています。私たちの研究室の特徴は、進化計算分野で研究が多い標準的な進化計算とインタラクティブ進化計算の研究に加えて、全てを人間が実行する人間ベース進化計算と、その人間ベース進化計算のシミュレーションを活用するシステムの研究を行っていることです。
We are studying evolutionary computation (EC) as optimization methods. EC can be seen as multi-agent systems if we consider who execute its procedures such as fitness evaluation, crossover, and mutation. The table below shows the classification of EC as multi-agent systems. Our laboratory conducts not only researches on standard EC and interactive EC, which are the mainstreams of EC researches, but researches on human-based EC and systems utilizing simulations of human-based EC as well.

標準的な進化計算の研究 (Studies on Standard Evolutionary Computation)

モデルベース遺伝的アルゴリズム (Model-based Genetic Algorithms)
解をビットで表現する遺伝的アルゴリズムの中で、過去に得た解候補の情報を使って解の生成モデルを構築しそれにより解生成する、いわゆるモデルベース遺伝的アルゴリズムを提案しています。その提案アルゴリズムには、生物の種分化にヒントを得たクラスタリング手法が組み込まれています。その方法は、問題全体を部分問題に分解することが困難な問題をより良く解くことを目指しています。

鳥の鳴き歌文法進化アルゴリズム (Evolutionary Algorithm Evolving Bird Song Grammars)
ある種の鳥は、鳴き歌に文法があり、その文法に基づく鳴き歌が性選択の対象になります。それにヒントを得て、文法を持つオス鳥と、好みの文法を選ぶメス鳥が個体群を形成する進化アルゴリズムを提案しています。この方法は、大規模なバイナリ最適化問題の実用解を、素早く得ることを目指しています。

セルラーオートマトンを用いる確率モデル構築型遺伝的アルゴリズム (Probabilistic Model Building Genetic Algorithm Using Cellular Automata)
バイナリ問題の個体群が示す行列状のビットパターンを、セルオートマトンにより変換しながら確率モデルを構築し、その確率モデルで新たな個体群(行列状のビットパターン)を生成する、確率モデル構築型の遺伝的アルゴリズムを提案しています。この遺伝的アルゴリズムは、全てのバイナリ最適化問題を、512ビットの生成ルール最適化問題に変換して解きます。

インタラクティブ進化計算の研究 (Studies on Interactive Evolutionary Computation)

インタラクティブ進化計算ユーザの好みの気づきの活用 (Utilization of Awareness of Tastes for Interactive Evolutionary Computation Users)
インタラクティブ進化計算は、評価関数(目的関数)を人間とする進化計算です。インタラクティブ進化計算において評価関数である人は、解候補の評価を繰り返すことで自分の好みを自覚する、あるいはより明確に自覚する可能性があります。その自覚した好みを解探索中に検知し、その好みに合う解を集中的に人に提示できるインタラクティブ進化計算に特化した進化計算手法の研究を行っています。

インタラクティブ進化計算と群知能最適化手法の枠組みの組み合わせによる架空生物の知的な振舞い生成 (Creating Intelligent Behaviors of Imaginary Creatures Using Combination of Interactive Evolutionary Computation and Framework of Swarm Optimization Algorithms)
群知能最適化手法では、個体と呼ばれる問題の解候補が、手法固有のルールに従い、問題の空間を移動します。つまり、問題を解くことと、ルールに従い問題の空間を個体が移動することは等価です。そこで、インタラクティブ進化計算により、ある群知能最適化手法使用の下で、個体群の動きが知的になるように、問題となる評価関数を最適化するシステムを提案しています。

人間ベース進化計算の研究 (Studies on Human-based Evolutionary Computation)

人間ベース進化計算システムの開発 (Developing Human-based Evolutionary Computation Systems)
最適化手法としての進化計算の主演算をすべて人間が実行する進化計算です。これにより人間にしか解の質を判断できない人間組織の問題解決が可能です。その人間ベース進化計算を実行できるWebシステムを開発しています。これは、インターネット上の多くの人々が、問題解決のためにアイデアを出し合い相互評価するクラウドソーシングだと捉えることもできます。

人間ベース進化計算参加者の貢献意欲の向上 (Motivating Participants in Human-based Evolutionary Computation Systems)
人間ベース進化計算で解を作り、評価する人間は、計算機と異なり、急にやる気をなくしたりします。人間ベース進化計算で得られる解の質は、参加する人間集団の貢献に依存するため、その人間集団の解探索への貢献意欲を維持向上することが必須です。そのための手法の開発を行っています。

人間ベース進化計算参加者へのビルディングブロックの提示 (Providing Building Blocks for Participants in Human-based Evolutionary Computation Systems)
人間ベース進化計算では、問題の解は自然言語で記述される文章になります。解である文章が増えると、人間はその理解に多くの時間を要します。そこで、その文章にある重要語句(ビルディングブロック)を機械学習手法を用いて抽出して参加者にリアルタイムに提示する手法を提案しています。また、各人にとっての重要語句を用いて人々の類似度を測り、その人々の間の類似度を参加者にリアルタイムに提示する手法も提案しています。

人間ベース進化計算のシミュレーションを活用する研究 (Studies on Systems Utilizing Simulations of Human-based Evolutionary Computation)

マルチ人間エージェント型進化計算 (Multi-human-agent-based Evolutionary Computation)
人々の解や行動についての好みを知るエージェント集団が、仮想空間の中で相互作用しながら、人間集団の代わりに、人間組織の問題解決のために、進化計算を行います。これは、分散型の人間ベース進化計算のシミュレーションと捉えることができます。

その他 (Other Studies)

形態形成アルゴリズム (Morphogenetic Algorithms)
生物の形作りに学んだ新たな物作り方法の実現を目指す形態形成工学の研究として、生物の発生において起こる細胞分化・分裂にヒントを得た構造生成手法を考案しています。また、生物の種分化にヒントを得たデータクラスタリング手法を考案しています。

生物のパターン形成にヒントを得た最適化手法 (Optimization Method based on Pattern Formation in Biological Development)
生物の発生において、特定のパターンは、タンパク(モルフォゲン)が細胞間を階層的に拡散することで形成されます。そのパターン形成にヒントを得た最適化手法を提案しています。その方法は、少ない解の評価回数で、良い解が得られることを目指しています。

個体がグラフ表現される群知能最適化手法 (Optimization Method based on Pattern Formation in Biological Development)
クモの網を造る行動にヒントを得た、個体が動的なグラフで表現される群知能最適化手法を提案しています。この手法では、個体がグラフで表現されるため、そのグラフあるいはグラフの特徴量の変化を観測すれば、問題そのものや、問題の解探索過程の理解が深まると期待できます。